みんなにいつまでも農業を続けてもらうために
畠山 周 さま
ファームビルド株式会社 代表取締役
母校はあの金足農業
42歳のとき本格的に就農し、2年前の基盤整備事業をきっかけに法人化。
秋田市金足地区はJR秋田駅から北に約20キロメートル。2018年(平成30年)に公立校の金足農業高校野球部が夏の甲子園大会で準優勝という快挙をとげ、全国的な注目を集めたことが記憶に新しい。
この地に生まれ育った畠山岡さんは現在47歳。農家に生まれ、金足農業、県立農業短期大(現・県立大学)を卒業後、JAなどを経て農業資材や種子の販売をする会社に就職した。42歳のとき父から経営を引き継ぎ、本格的に就農。2019年(平成31年)3月、地域の基盤整備事業が始まったことをきっかけに独立し、ファームビルド株式会社を設立した。あきたこまちを10へクタール、めんこいなを12ヘクタール、ほかに枝豆なども作っている。
今年はFG剤で決まり
効果はもちろん、FG剤は自己拡散型なので楽。作業時間が大幅に減った。
会社を設立する前年の2018年から、除草剤は『アッパレZ』を使っている。ノビエが多いことに悩んでおり、初めて使ったとき「すごく効くな」という感想を持った。
最初は1キロ粒剤を田植同時処理で使っていたが、昨年から田植後にドローンで散布する方式に。試験的に使ったFG剤(自己拡散型の浮遊粒剤)にも大いに満足した。
「1キロ粒剤をドローンでまく場合、均一にまかなければいけないので意外と時間がかかるんですよ。その点、FG剤は自分で拡がってくれるので作業が楽。大幅な時間短縮になりました」
今年はすべての圃場にFG剤を使うことを決めているという。
農業経営のフルサポート
生産販売するだけの農業法人が多いことに以前から疑問を持っていた。
ファームビルドの事業内容は農産物の生産販売だけに留まらない。ホームページを見ると、「農業経営のフルサポート」と大きくうたわれている。
「もともと自分たちで生産販売しているだけの農業法人が多いことに疑問を持っていました。どんどん離農が進んでいて、小さい農家さんは農業機械が壊れたくらいでやめてしまうこともある。手に負えない作業を代わりにやってあげて、できるだけ長く農業を続けてほしいと思っているんです」
地域の人望も厚い。JA秋田なまはげ秋田地区営農センターの上野未来さんは「高齢の方が多い中、畠山さんは若手だけど信頼されている。これからの農業を引っ張っていく人だと思っています」と話す。
19歳の長男は金足農業野球部で、あの吉田輝星投手の一年後輩だった。卒業後は就農を希望したが、自身の経験も踏まえていったん外部に就職することを勧めたという。「農業をする上でも社会勉強は必要ですから。何年か社会経験を積んで、いずれ一緒に農業をやっていけたら嬉しいですね」