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水稲用一発処理除草剤の”うんちく”

水稲用除草剤の全国での使用状況

日本植物調節剤研究協会(日植調)調べによると、2022年に使用された水稲用一発処理除草剤(以下一発剤)の普及面積(メーカー出荷実)は約166万haで、これは2022年度の水稲作付面積の134.4万haを大きく上回り、計算上では作付けされた全ての水稲圃場で使用されていることになります。

使用された一発剤の有効成分数でみると、3成分のものが全体の70%と最も多く、2成分、4成分のものはそれぞれ14%、1成分のものはわずか0.02%となっています。
これは、水稲用除草剤に含まれる成分が、ノビエを枯らす成分+ノビエ以外の雑草を枯らす成分+除草剤抵抗性対策成分と言った役割で組み合わされており、成分の特長によって少成分での防除を目指したり、成分を追加してより効果の増強を目指したりして成分数の工夫がされているからです。

また、剤型別にみた場合、粒剤が50%と最も多く、次いでジャンボ剤が28%、フロアブル16%、近年販売された拡散剤(FG剤や豆つぶ剤、楽粒など)は6%と、依然として粒剤が多く使用されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年増加している省力性に優れるジャンボ剤や拡散剤の割合が合計で3割を超えており、散布労力の軽減に向けたニーズがますます高まっていることが分かります。

水稲用除草剤を上手に使うには

散布前の圃場整備

丁寧な畦塗、丁寧な代掻き、稲わらなどの除去など、事前の準備が大切です。
散布前の圃場整備をしっかり行いましょう。

丁寧な田植え

適切な植付深度で田植を行い、浅植や極端な深植は避けて下さい。
田植前に過度に落水を行い田面が露出した状態になると、土が固くなり、植え戻りが悪く根が露出する場合があるのでご注意ください。
田植機のスピードも重要です。田植機の速度があまり速すぎると植付不良が起こり、根が露出した場合、薬害が発生する恐れがあります。

適切な水管理

圃場の水の深さは5cm以上、ジャンボ剤や少量拡散剤を散布する場合はそれより深く水をためることが大切です。
水がたまったら水口、水尻しっかり止めて、畦等からの漏水が無い事もチェック。
除草剤の効果を安定させるため、最低でも3~4日は湛水状態を保ち、さし水を行う場合は、7日目以降に行いましょう。

適期処理を行う

除草剤ごとに特性があり、使用適期が異なります。
ラベルをよく読み、適期散布を行いましょう。

田植同時処理を行う場合

一発剤や初期剤の田植同時処理を行う場合、事前に散布機のメモリを調整する必要があります。
また、田植後は水尻がしまっていることを確認して入水を行い、入水後は水口をしっかり閉めましょう。

 

<除草剤を上手に使うコツにつきましては、下記分かりやすくアニメーションでも確認できます>

・なるほど納得 ワンポイント除草剤講座 ~水稲用除草剤の効き方~

・なるほど納得 ワンポイント除草剤講座 ~水稲用除草剤が効かない訳~

・なるほど納得! ワンポイント除草剤講座 ~田植同時処理のポイント~

ラベル記載の散布適期を把握

除草剤はラベルに記載の「使用時期」欄を確認し、いつからいつまで散布できるのか必ず守ることが大切です。
なぜなら、早限より早く散布すると薬害のリスクが高くなり、晩限より遅く散布すると効果不足や作物残留超過のリスクが生じるからです。
 早限の表記:移植後●日~、稲〇葉期~
 晩限の表記:ノビエ〇葉期まで、移植後●日まで、収獲◇日前まで

また、対象雑草の葉齢にも注意が必要です。
雑草の種は、代かき時の入水から動き始めるため、最初の代かきからの日数を目安にして、対象雑草の処理晩限を超えないように処理する必要があるからです。
例えば、ノビエは代かきから数日で芽を出し、1葉展開するのに3日かかる(20℃条件)と言われ、5~6日で1葉期、8~9日で2葉期、10日で2.5葉期に成長します。そのため、ノビエの葉齢が一発剤の処理晩限を超えることのないように、代かきから田植までにかかった日数に注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


つまり、圃場をよく観察し、散布適期を逃さないように早めの散布を心掛けることが大切です。

近年の温暖化傾向から、雑草の葉令進展は、従来の感覚よりやや早めに進む傾向がありますのでご注意ください。

ノビエの特徴について、動画に纏めましてので詳しくはこちらからどうぞ!

雑草防除は効果的に!『ノビエ』の特徴を知って除草剤を上手に使おう!