病害虫の防除について、
お困りのことはありませんか?
解決のポイントは、
「低密度」と「タイミング」
殺虫剤や殺菌剤を上手に効かせたい! 効かせるコツは?
そうした悩みを解決するヒントは、日常の農作業のさまざまな場面に隠れているかもしれません。
さまざまな観点からの防除法を実践し、病害虫が発生しにくい環境をつくることがポイントです(総合防除:IPM)。
病害虫が発生しにくい環境だと、発見から防除まで慌てる必要がなく余裕を持った判断ができます。
また、発生量が少ないと防除法の選択肢にも幅が出ます。
普段の農作業を見つめ直して、化学合成農薬だけに頼る防除を見直してみませんか!
上手に防除するための
お役立ち資材
天敵や微生物等を利用した病害虫防除、また、フェロモン剤を活用するなどして、
化学合成農薬だけに頼らない防除を実践しましょう。
協友アグリでは、「フェロモン剤」「天敵・微生物製剤」「気門封鎖剤」などをはじめ、
様々な防除資材をラインナップしています。是非ご活用ください!
- フェロモン剤
- 天敵・微生物製剤
- 気門封鎖剤
- その他
お役立ち資材
フェロモン剤
特長
自然界で小さな昆虫が配偶者を見つけることはとても困難なことです。そこで夜行性の昆虫、特にガの仲間では性フェロモンを利用して配偶者を探す能力が著しく発達しています。このメカニズムを利用した害虫防除法がフェロモン剤による害虫防除です。大量誘殺法と交信攪乱法があります。大量誘殺法はフェロモン剤で大量の雄をトラップし、雄成虫を減らして雌の交尾機会を奪う方法です。交信攪乱法は圃場に性フェロモンを拡散させ、雄が雌のいるところに飛んでいくことができないようにして交尾の機会を奪います。その結果どちらも未受精卵を産卵することになり、次世代の幼虫密度が抑制されます。
製品ラインナップ
天敵・微生物製剤
特長
天敵とは、特定の生物種を捕食や寄生によって死亡させる生物のことを指します。大きく3つのグループに分けられます。①捕食者:ほかの生物を餌として食べる生物で、テントウムシやクモなどがいます。②捕食寄生者:ほかの生物に寄生して生活し、最終的にその生物を殺してしまう生物で、コマユバチやアブラバチと呼ばれる昆虫寄生蜂などがいます。③病原微生物:昆虫に感染して死亡させる微生物で、主に糸状菌、細菌、ウイルスなどの昆虫病原菌です。こういったさまざまな天敵や微生物が生物農薬として市販されています。
製品ラインナップ
気門封鎖剤
特長
昆虫にとって、人の鼻のような空気を取り入れる場所は、気門と呼ばれる身体に開いた穴です。(口は摂食するためだけのもので息はできません。)気門封鎖剤とは、文字通り気門を塞いでしまうことで昆虫を窒息死させようとするものです。ハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類などの微小害虫に効果があります。虫体を包み込まないと効果が発揮できないので、作物についている害虫を隈なく防除するにはかけ残しがないようにたっぷり散布することが重要です。
製品ラインナップ
その他お役立ち資材
特長
IPMで利用される資材は様々なものがあり、物理的防除に関わるものが多くあります。防虫ネットにより栽培施設内への侵入を抑制したり、光を利用して夜行性昆虫に昼間と勘違いさせて行動を抑制したり、紫外線をカットすることで昼行性昆虫の行動を抑制したり、光反射資材を利用して昆虫の飛翔を阻害して施設内への侵入を減らしたりするなど、全体の密度を低下させる効果があります。
製品ラインナップ
害虫の侵入や行動を抑制することができます。また、一部の病害の胞子発芽も抑制されます。
黄色のLEDを設置することにより、夜行性の蛾に昼夜を錯覚させ、主に夜間に行われる交尾行動や産卵行動を抑制することができます。
反射資材をハウス外周部に設置したりマルチに使用。また、光反射資材が編み込まれたネットをハウスのサイドやトンネル被覆資材に使用することで飛来性害虫の侵入を抑制します。
アブラムシ類、ハモグリバエ類、コナジラミ類やアザミウマ類などの発生時期を把握し、これにより防除時期の見極めを行いましょう。
黄色の粘着トラップにはアブラムシ類(有翅)、コナジラミ類、ハモグリバエ類が、青色の粘着トラップにはアザミウマ類が誘引されやすいので、目的に応じた色を選択してください。
ハウスの開口部やトンネルの被覆資材に用いることで害虫の侵入を抑制します。対象とする害虫によって目あいの大きさを選ぶことにより、風通しを改善できます。本圃だけでなく、育苗期間にも利用することで、本圃に持ち込む害虫の量を減らせます。
総合防除・IPMって?
IPMとは、英語のIntegrated Pest Managementの頭文字をとったものです。
「化学合成農薬だけに頼ることなく、いろいろな防除方法を適切に組み合わせて、
経済的な被害が発生しない程度に病害虫や雑草の密度を管理する。」という考え方を意味します。
IPMの基本は、「予防」「判断」「防除」を無理なく循環させることです。
病害虫が発生しにくい圃場づくりに、作物や周辺環境をしっかり観察し変化を的確に捉え、
効果やコストはもちろん、環境への影響を配慮した防除の実践で、持続可能な農業生産を実現させるために、
日々の農作業を見つめ直し、技術をフル活用して自分に合ったIPMを実践していきましょう。
持続可能な農業生産を実現させるための考え方です。
【予防】➡病害虫雑草が発生しにくい環境づくり
圃場の排水性改善や土づくり、健全な種子・苗の使用、輪作、品種の選択、適正な施肥管理などの様々な耕種的管理を心がけ、作物ごとに適した生産環境を整えましょう。
【判断】➡いつ、なにを防除するのかをきちんと判断
定期的に気象や農作物の状態を確認し防除の優先付けや防除時期を考えます。地域の発生予察情報や防除コストなども視野に入れ、防除の要否およびタイミングを総合的に判断します。
【防除】➡様々な手段を組み合わせた、効率的な防除
物理的/生物的/化学的手法を上手に活用し、コスト面でも環境面でも最適な防除方法を考えましょう。
■物理的防除
病害虫の発生源の除去
作物の保護や生育補助のための資材の活用
- 防虫ネット
- 粘着板
- マルチなど
■生物的防除
- 天敵や益虫・微生物等を利用した病害虫防除
- フェロモン剤の活用
■化学的防除
- 化学合成農薬を上手に使った効率的な防除
- RACコードを活用したローテーション防除による抵抗性管理
- 天敵や放花昆虫などに配慮した農薬の選定
IPM連載コラム
コラム①
IPMとは
IPMとは、英語のIntegrated Pest
Managementの頭文字をとったものです。今から半世紀以上前の1965年、FAO(国連食糧農業機関)は、ローマに害虫防除に関わる研究者を集め、これからの害虫防除について検討しました。そして翌1966年、今後あるべき有害生物防除を提示しました。それがIPMです。
化学合成農薬の散布に偏重した害虫防除を反省して、IPMの中では、あらゆる適切な防除手段を矛盾なく使用し、経済的な被害が発生しない程度に害虫密度を抑制し、かつその低密度水準に維持することが求められました。害虫を可能な限り減らしてしまおうとする防除(control)から被害が出ない程度に管理(management)しようという考え方への転換です。
その後、1992年に①害虫がいても被害が少なければ防除は不要である。②人間の健康、環境、農業の持続性、経済性への農薬の影響を考慮する。③防除が必要なときは、まず化学的防除以外からとりかかる。④農薬はIPMの方策の最終手段として使用する。との考え方が追加修正されました。
その後、これらの考え方は害虫防除だけではなく、病害防除や雑草防除にも取り入れられ、現在IPMは「総合的病害虫雑草管理」と訳されています。
コラム②
光と昆虫
人が見ている光は、いわゆる可視光領域の光。波長としてはおおむね400~700ナノメートル(nm)程度と言われています。一方、昆虫が見ている光は、300~600nmで人と比べると100nmぐらい短波長側にずれています。ですから、人には見ることができない紫外線領域の光(400nmより波長が短い光)が見えて、赤色は見ることができません。こうした性質をうまく利用すると、害虫の密度抑制に結び付けることができます。例えば、ハウスの被覆資材に紫外線カットフィルムを利用すると、ハウス内の紫外線量が減るため、昼行性の害虫にとってハウスの中が薄暗く見えるようになります。その結果、ハウス内への害虫侵入が抑制されます。
また、昆虫にはものを見るための複眼と、光を感じるための単眼という2種類の目を持っています。太陽から降り注ぐ光を単眼で感じることで飛翔姿勢を保っており、下から光りが乱反射すると真っ直ぐ飛翔することができなくなってしまうと言われています。ハウスの周りの地面に紫外線反射シートを展張すると、ハウスに飛来する害虫が少なくなります。
これらのほかにも光は害虫の行動に大きな影響を及ぼします。
コラム③
粘着トラップの色と誘引される害虫
市販されている粘着トラップの色は、大半が黄色と青色です。いずれの色も昆虫が好む色です。色によって集まる害虫の種類は異なります。黄色粘着トラップには、オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、アブラムシ類、ハモグリバエ類、ネギアザミウマ、ミナミキイロアザミウマなどが集まります。害虫以外のコバエの仲間もいっぱい集まります。青色粘着トラップには、ヒラズハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマなどが誘引されます。
昆虫と色の関係は、昆虫と植物の関係に結び付くという考え方があります。昆虫を利用して受粉を行うタイプの植物は、花に昆虫を集める必要があります。植物は様々な色で花を目立たせ、昆虫をひきつけます。春先の花には黄色い花が多いという調査結果があります。春先は気温がそれほど高くなく、昆虫の活動も不活発です。そのため植物は少しでも目立つ色で昆虫をおびき寄せようとします。その結果、黄色い花が多いという仮説です。黄色の粘着トラップに多くの昆虫が集まる理由は、そこにあるのかもしれません。