オオタバコガ
- 分類
- チョウ目、ヤガ科
- 学名
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- Helicoverpa armigera
- 英名
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- cotton bollworm, corn earworm, tobacco budworm
【おもな加害作物】
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非常に広食性で、多くの豆類、野菜類、花き類を食害する。スイートコーン、ダイズ、ピーマン、ナス、トマト、スイカ、イチゴ、キャベツ、レタスなど野菜類、キク、カーネーション、トルコギキョウなど花き類、リンゴ、カキなど果樹類。
【生態】
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年間3~5世代程度発生する。土中の蛹で越冬し、越冬世代成虫は5月から6月上旬に、第1世代成虫は7月上旬ころ、その後1か月に1度くらいの間隔で発生する。8月後半以降になると、世代が重なるため、成虫発生の明瞭な世代別のピークは確認しづらくなる。幼虫による食害は6月下旬ころからわずかに観察されるようになり、7月下旬ころから被害が甚大になってくる。成虫は作物の頂部や蕾付近に1個ずつ産卵する。1雌あたりの生涯産卵数は1,000~2,000個。幼虫の体色は緑色から褐色まで個体変異が大きい。
【被害】
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孵化幼虫は果菜類では産卵部付近の展開葉や蕾を食害し、その後果実や茎の内部に食入する。茎に食入した場合は、食入部位より先の部分が萎凋、枯死する場合が多い。スイカでは果実内部に食入することはあまりなく、果実表面を浅く広く食害する。レタスでは孵化幼虫が結球内部に食入して加害するため、外観上は被害の有無がわかりにくい。カーネーション、キク、バラなどの花き類では花蕾や新芽等を食害する。中老齢幼虫は、よく移動するため、1頭の幼虫により多数の茎頂部や果実が食害される。レタスの場合は、結球内部を加害している幼虫は、1株に1頭であることが多い。
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本種は孵化直後から植物体内に食入する性質があり、果実や結球内部に食入した幼虫には殺虫剤がかかりにくい。産卵盛期に殺虫剤を散布し、孵化幼虫が植物体に食入する前に防除する。
食害を受けた果実や蕾は内部に幼虫が生息している可能性があるので、除去し、埋設など適切に処理する。作物残渣を圃場周辺に積み上げておくと、そこで幼虫が成育を続ける場合があるので、残渣を黒色マルチフィルムなどで覆って蒸し込み、幼虫の熱殺を図る。
プレオ®フロアブル
殺虫効果はやや遅効的ですが、食害抑制効果は速やかに発現し、老齢幼虫にも有効です。
チョウ目およびアザミウマ目害虫など幅広い害虫に活性を示す一方、天敵・有用昆虫には影響が少なく、総合的病害虫管理(IPM)に適した薬剤です。
主な登録作物
- ミニトマト・トマト
- なす
- キャベツ
- はくさい
ディアナ®SC
殺虫効果に加え摂食阻害効果を有するため速効的に作用しますが、齢期が進むと効果が落ちるので若齢時に使用することをおすすめします。チョウ目害虫以外にも、ハエ目害虫、アザミウマ類にも有効です。
主な登録作物
- ミニトマト・トマト
- なす
- ピーマン
- キャベツ
- はくさい
エスマルク®DF
クルスターキ系のBT生菌剤。チョウ目害虫に幅広く有効で、コナガ、アオムシ、オオタバコガ、ウワバ類が得意分野。有機農産物にも使用可能です。
主な登録作物
- ミニトマト・トマト
- きゅうり
- なす
- ピーマン
- メロン
- いちご
- ほうれんそう
- キャベツ
- はくさい
- にら
- たまねぎ