コナジラミ類
- 分類
- カメムシ目、コナジラミ科
- 学名
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- Trialeurodes vaporariorum(オンシツコナジラミ)
- Bemisia tabaci(タバココナジラミ)
- 英名
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- greenhouse whitefly(オンシツコナジラミ)
- sweetpotato whitefly(タバココナジラミ)
【おもな加害作物】
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典型的な広食性昆虫であり、ナス、トマト、ピーマンなどナス科作物、キュウリ、カボチャ、スイカなどのウリ科作物、インゲン、花き類など非常に多くの作物を加害する。
オンシツコナジラミ
ジャガイモ、ダイズ、ピーマン、ナス、トマト、ウリ類、イチゴ、キク、ホウズキ、トルコギキョウなど。
タバココナジラミ
サツマイモ、ダイズ、ナス、トマト、ウリ類、キクなど。タバココナジラミは外観が同じだが、遺伝子型や生物学的特性が異なる複数のバイオタイプが存在する。わが国では、バイオタイプBとQ、JpL(在来系統)、Nauruが確認されている。バイオタイプは遺伝子診断でしか判別できない。バイオタイプJpLとNauruは野生植物を中心に発生し、農作物へ加害することはまれである。
【生態】
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オンシツコナジラミは名前のとおり施設で発生するが、タバココナジラミと比較して寒さに強いので、関東以西では野外での越冬が可能である。冬から初夏の施設栽培で発生が多い。両種とも成虫は成長点や若い新芽を好み、成長点付近の新葉の葉裏に産卵する。1メス当たりの産卵数はオンシツコナジラミが100~500卵程度、タバココナジラミが100~300卵程度である。いずれの種も孵化直後の1齢幼虫は歩行するが、しばらくすると葉に固着し、羽化して成虫になるまで移動しなくなる。そのため、寄生植物上では、新葉に成虫と卵、その下の葉には幼虫、さらにその下の葉には蛹が観察される。25℃程度の温暖条件下では、約3週間で1世代を経過する。
【被害】
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両種とも成虫及び幼虫が作物を吸汁加害するが、それによる生育抑制や萎凋はほとんどない。実害としては、付着した排泄物にカビ(すす病)が発生する(すす病)ことによる葉や果実の汚れやそれに起因する光合成の阻害が大きい。オンシツコナジラミはビートシュードイエロースウイルス(BPYV)、トマト退緑ウイルス(ToCV)などを、タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)、キュウリ退緑黄化ウイルス(CCYV)、トマト退緑ウイルス(ToCV)などを媒介する。
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施設栽培の場合、開口部へ防虫ネット(目合い0.4mm以下)を展張する。定植時に粒剤を処理する。早期発見に努め、発生密度の低いうちから防除に努める。黄色粘着板で発生のモニタリングを行うことも有効である。薬剤抵抗性の発達を防ぐため、ローテーション防除を行う。施設栽培の場合、作期終了時には、作物が枯死するまで施設を密閉し、コナジラミ類の野外への分散を防止する。施設ナスや施設キュウリでは、発生密度の低いうちから、天敵製剤(スワルスキーカブリダニなど)を利用する。タバココナジラミバイオタイプQは多くの薬剤の感受性低下が報告されているため、効果の高い薬剤を選定する。
ディアナ®SC
幼虫への効果がメインですが、卵および成虫にも活性があります。発生初期の防除におすすめです。タバココナジラミバイオタイプQにも効果があります。コナジラミ類以外にも、ハモグリバエ類、アザミウマ類にも有効です。
主な登録作物
- ミニトマト・トマト
- きゅうり
- なす
- ピーマン
- メロン
- いちご
ベストガード®水溶剤
高い浸透移行性と葉面浸達性を有し、コナジラミ類に高い効果を示します。タバココナジラミバイオタイプQにも効果があります。コナジラミ類以外にも、アブラムシ類、ハモグリバエ類、アザミウマ類にも有効です。
主な登録作物
- ミニトマト・トマト
- きゅうり
- なす
- ピーマン
- メロン
- いちご
エコピタ®液剤
食品(還元澱粉糖化物)が有効成分。気門を封鎖して殺虫効果を示します。幼虫と成虫に効果があります。直接かからないと効果が発揮されませんので散布ムラに注意してください。卵への効果や残効は期待できないので7日間隔の連続散布がおすすめです。コナジラミ類以外に、ハダニ類、アブラムシ類、うどんこ病に効果があります。
主な登録作物
- ミニトマト・トマト
- きゅうり
- なす
- ピーマン
- メロン
- いちご
- ほうれんそう
- キャベツ
- はくさい
- にら
- たまねぎ
- ねぎ