ハスモンヨトウ

中齢幼虫中齢幼虫

分類
チョウ目、ヤガ科
学名
  • Spodoptera litura
英名
  • tobacco cutworm, common cutworm, cotton leafworm

【おもな加害作物】

  • 極めて広食性であり、野菜、畑作物、花き、果樹にまで被害が及ぶ。野菜ではサトイモ、ヤマノイモ、キャベツ、ナスなどで特に発生が多く、ハクサイ、ダイコン、ネギ、トマト、ピーマン、キュウリ、ホウレンソウ、ニンジン、イチゴなどでもよく見られる。畑作物ではダイズで特に多く、花きではキク、ダリア、キンセンカ、カーネーション、シクラメンなどに多い。

  • 孵化幼虫孵化幼虫
  • 中齢幼虫中齢幼虫
  • 老齢幼虫老齢幼虫
  • 成虫(雄)成虫(雄)
  • 成虫(雄)成虫(雄)

【生態】

  • 年間5~6世代程度発生する。暖地系害虫であり、寒さに弱く休眠性がないので自然条件下での越冬は少ないが幼虫または蛹で越冬する。越冬個体が少ないので春は密度が低く、7月以降に発生が多くなる。世代を重ねながら増加し、9月以降に発生量が急に多くなり被害が甚大になる。
    成虫は体長15-20mm、開帳(羽を広げた長さ)約40mmで前翅は黒褐色で淡褐色の斜め縞模様が目立つ。ハスモンヨトウ「斜紋夜盗」の和名は、この前翅の斜め模様に由来する。
    卵は数百粒の卵塊で産み付けられた後、腹部の毛(鱗毛)で覆われる。作物以外にどこにでも産卵するので、ハウスなど施設に産卵(卵塊)されると、初齢幼虫でも簡単に分散する。
    幼虫は6齢を経て蛹になる。終齢幼虫の体長は40mmに達し、灰暗緑色、暗褐色など変化に富む。幼虫は頭の後ろに一対の黒い斑紋を有する。
    蛹化は土中で行われる。

【被害】

  • 孵化幼虫から2齢までは群棲して葉肉を摂食するため、食害を受けた葉は白変葉(かすり状)となる。3齢幼虫期以降は分散し、葉縁から葉脈や葉柄を残して暴食するので圃場一面が丸坊主になることがある。老齢幼虫は果実の中に食入することもある。全幼虫期の摂食量の90%以上は老齢幼虫(5-6齢)による。

  • まず成虫を圃場に近づけない工夫が重要。防虫ネットによる排除、フェロモントラップ(ファネル型トラップ+フェロディンSL)によるオス成虫誘殺、フェロモン剤(コンフューザーVなど)による交信攪乱等によりメス成虫の有効産卵数を低下させる。この場合は広域な取り組みが重要となる。
    物理的防除やフェロモン剤の使用の有無にかかわらず、殺虫剤の使用が必要となる。野菜類の定植時に粒剤を処理すると初期の予防効果となる。
    散布剤の場合、ハスモンヨトウ幼虫は葉の裏にいたり土中に潜っていたりすることが多く、葉の両面に均一に散布することが重要。齢期により薬剤感受性が異なる場合が多いので、感受性の高い若齢期に防除することが望ましい。
    同一系統の薬剤を連用すると抵抗性が発達する可能性があるので、殺虫剤番号の異なった剤によるローテーション散布が必要。但し剤ごとに適用作物や薬害の有無が異なるのでラベルをよく確認してから使用する。

プレオ®フロアブル

殺虫効果はやや遅効的ですが、食害抑制効果は速やかに発現し、老齢幼虫にも有効です。
チョウ目およびアザミウマ目害虫など幅広い害虫に活性を示す一方、天敵・有用昆虫には影響が少なく、総合的病害虫管理(IPM)に適した薬剤です。

主な登録作物

  • ミニトマト・トマト
  • なす
  • いちご
  • ほうれんそう
  • キャベツ
  • たまねぎ

ディアナ®SC

殺虫効果に加え摂食阻害効果を有するため速効的に作用しますが、齢期が進むと効果が落ちるので若齢時に使用することをおすすめします。チョウ目害虫以外にも、ハエ目害虫、アザミウマ類にも有効です。

主な登録作物

  • ミニトマト・トマト
  • なす
  • ピーマン
  • いちご
  • ほうれんそう
  • キャベツ
  • はくさい
  • たまねぎ

フローバック®DF

アイザワイ系のBT生菌剤。チョウ目害虫に有効で、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、ヨトウムシが得意分野。有機農産物にも使用可能です。

主な登録作物

  • ミニトマト・トマト
  • きゅうり
  • なす
  • ピーマン
  • メロン
  • いちご
  • ほうれんそう
  • キャベツ
  • はくさい
  • にら
  • たまねぎ