ハモグリバエ類

成虫(トマトハモグリバエ)成虫(トマトハモグリバエ)

分類
ハエ目、ハモグリバエ科
学名
  • Chromatomyia horticola(ナモグリバエ)
  • Liriomyza trifolii(マメハモグリバエ)
  • Liriomyza sativae(トマトハモグリバエ)
英名
  • garden pea leafminer(ナモグリバエ)
  • legume leafminer(マメハモグリバエ)
  • tomato leafminer, vegetable leafminer(トマトハモグリバエ)

【おもな加害作物】

  • ナモグリバエ

    ダイズ、ダイコン、キャベツ、ハクサイ、レタス、キク、マリーゴールドなど。

    マメハモグリバエ

    ジャガイモ、ダイズ、ナス、トマト、キュウリ、キャベツ、ネギ、セルリー、キク、ガーベラ、など。

    トマトハモグリバエ

    ジャガイモ、ダイズ、ピーマン、ナス、トマト、キュウリ、キャベツ、キクなど。

  • 蛹(ハモグリバエ)蛹(ハモグリバエ)
  • 成虫(トマトハモグリバエ)成虫(トマトハモグリバエ)

【生態】

  • ナモグリバエ

    日本全国で見られ、早春から発生する。晩春に発生が多くなり、初夏になると発生密度は低減する。夏期の高温が発育に不適なことと、土着天敵が増加するため真夏は減少する。秋になって気温が低下すると再び発生する。成虫、蛹、幼虫いずれのステージでも越冬が可能で、暖地では冬期間でも徐々に発育を続ける。成虫の生存期間は約15日、平均産卵数は300個以上となる。卵は葉の中に産み込まれ、孵化幼虫は葉肉内を摂食しながら移動する。葉の中で蛹化する。メス成虫は産卵管を葉肉内に挿し込み、その傷口から出る液を摂食する。オス成虫は産卵管が無いため葉に傷をつけることができず、メスがつけた傷口から液を摂食する。この産卵管を挿した跡が白色の斑点となる。また、それらの白斑点の一部に産卵が行われる。

    マメハモグリバエ

    海外からの侵入害虫。原産地はアメリカ大陸で、1990年に初めて国内での発生が確認された。寄主植物の種類により発育期間や産卵数は異なる。インゲンでは、25℃の場合約17日で一世代を完了する。また、産卵数は500卵以上となる。卵は葉の中に産み込まれ、孵化幼虫は葉肉内を摂食しながら移動する。3齢幼虫の末期になると葉から脱出し、土壌表面やマルチの上で蛹化する。メス成虫は産卵管を葉肉内に挿し込み、その傷口から出る液を摂食する。オス成虫は産卵管が無いため葉に傷をつけることができず、メスがつけた傷口から液を摂食する。この産卵管を挿した跡が白色の斑点となる。また、それらの白斑点の一部に産卵が行われる。

    トマトハモグリバエ

    海外からの侵入害虫。原産地はアメリカ大陸で、1999年に初めて国内での発生が確認された。インゲンを餌とした場合、約17日で一世代を完了する。産卵数は600卵を超える。卵は葉の中に産み込まれ、孵化幼虫は葉肉内を摂食しながら移動する。3齢幼虫の末期になると葉から脱出し、土壌表面やマルチの上で蛹化する。メス成虫は産卵管を葉肉内に挿し込み、その傷口から出る液を摂食する。オス成虫は産卵管が無いため葉に傷をつけることができず、メスがつけた傷口から液を摂食する。この産卵管を挿した跡が白色の斑点となる。また、それらの白斑点の一部に産卵が行われる。

【被害】

  • ナモグリバエ

    成虫が葉肉内に産卵すると、直径1mmほどの白い小斑点ができる。孵化幼虫はこの小斑点から蛇行する白い筋をつけながら葉肉内を食害し、いわゆるエカキムシ(絵描き虫)の症状を呈する。食害痕内の虫糞は薄黒色で点状となる。多発して1枚の葉に多数の幼虫が潜行している場合は、表皮が葉肉からはがれ、葉が白い袋状になる。

    マメハモグリバエ

    成虫が葉肉内に産卵すると、直径1mmほどの白い小斑点ができる。孵化幼虫は葉肉内を摂食しながら移動し、渦巻き型のいわゆるエカキムシ(絵描き虫)の症状を呈する。食害痕内の虫糞は薄黒色で線状となる。これらの食害痕が農作物の外観品質を損なうため、葉が商品となる葉菜類や花き類での被害が大きい。

    トマトハモグリバエ

    成虫が葉肉内に産卵すると、直径1mmほどの白い小斑点ができる。孵化幼虫は葉肉内を摂食しながら移動し、蛇行型のエカキムシ(絵描き虫)の症状を呈する。食害痕内の虫糞は濃黒色で線状となる。

  • 多発後の防除は困難である。葉菜類、花き類ではわずかな食害で生産物の品質は著しく低下する。したがって、初発期からの防除が重要となる。ハモグリバエ類の成虫は、黄色に誘引される性質がある。黄色粘着ロールを栽培施設内外に展張すると施設内への侵入抑制ができる。防虫ネットや近紫外線カットフィルムの利用も有効である。

ディアナ®SC

やや遅効的で食害が進むことがありますが、浸達性に優れるので葉に潜り込んだ幼虫にも効果が期待できます。成虫にも効果があります。ハモグリバエ類以外にチョウ目害虫、アザミウマ類、コナジラミ類に有効です。

主な登録作物

  • ミニトマト・トマト
  • きゅうり
  • なす
  • メロン
  • ほうれんそう
  • キャベツ
  • たまねぎ
  • ねぎ

ダントツ®水溶剤

浸達性に優れるので葉に潜り込んだ幼虫にも効果が期待できます。ハモグリバエ類以外にアブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミ類、コウチュウ目害虫に有効です。訪花昆虫への影響があるので散布タイミングに注意が必要です。

主な登録作物

  • ミニトマト・トマト
  • なす
  • メロン
  • ねぎ

プレオ®フロアブル

やや遅効的で食害が進むことがありますが、最終的には死に至ります。訪花昆虫、天敵に影響が少ないので、総合的病害虫管理(IPM)体系防除で有効です。

主な登録作物

  • ミニトマト・トマト
  • きゅうり
  • なす
  • メロン
  • ほうれんそう