ハイマダラノメイガ
別名:ダイコンシンクイムシ
- 分類
- チョウ目、ツトガ科
- 学名
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- Hellulla undalis
- 英名
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- cabbage webworm
【おもな加害作物】
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ダイコン、キャベツ、ハクサイ、カブなどアブラナ科野菜、ストック。
【生態】
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成虫は葉柄の基部付近に1~数卵を産下する。孵化幼虫は幼植物の成長点付近の心部に食入し、成長点付近の新葉を綴り合せて食害する。1か月程度で卵から成虫までを完了する。年間発生世代数は、6~8世代程度。北海道から九州まで分布する。春季の発生は少なく、8月中旬から10月にかけて発生が多くなる。これ以外の時期の発生はきわめて少なく問題になることは少ない。老齢幼虫の体色は淡褐色で、5本の褐色の縦筋があり、頭部は黒く、体長2cm程度である。クレオメは本種が発生するので、予察に利用することが可能である。
【被害】
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本種の発生は生育初期の株に見られ、生育後期にはほとんど見られない。ダイコンでは、生育初期の中心葉が綴り合わされ、成長点が食害される。成長点付近には糞の排出が確認できる。キャベツでは、育苗期は成長点が食害されるため、生育が停止し、枯死するものが多い。定植後は成長点が食害されると複数の脇芽が発生し、生育が遅れ、正常な結球は不可能である。生育中期以降のダイコンやキャベツでは、中心部の被害よりも葉柄内の食害が多く、葉柄部に糞の排出や確認されるほか、葉柄が折れて葉が垂れ下がっているのが観察される。幼虫による大きな被害は幼植物時だけで、生育後期になると被害は目立たない。年次によって発生量は大きく異なり、夏季が高温少雨の年は発生が多くなる傾向がある。
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夏季が高温少雨の年は多発が予測されるので、播種を発生の多い8月中下旬から9月上中旬にずらす。多発が予測される場合は、播種前や定植時に粒剤を処理する。また、発生を見たらただちに防除を行う。軟弱野菜やダイコンの生育初期、ハクサイなどの育苗期には、2mm目合い以下の防虫ネットや寒冷紗、べたがけ資材等によるトンネル栽培、被覆栽培を行う。8~9月定植のキャベツやハクサイでは、育苗期後半または定植時に灌注剤や粒剤を処理する。多発期にダイコンや軟弱野菜を播種した場合には、発芽直後に産卵されるので、孵化幼虫が食害を開始する播種10日後(本葉1葉期頃)に必ず薬剤散布を行う。